コロナ禍でも気をつけるべき病気・健康情報:変形性膝関節症

膝が痛むのはなぜ?――その原因と治療法

朝起きて歩き始めたとき、イスから立ち上がったときなどに膝が痛むことはありませんか? ぶつけたり転んだりしたわけでもないのに、「痛むのはなぜ?」と思うことでしょう。こうした痛みは、おもに変形性膝関節症によるものです。中高年の女性に多く、早めの受診と治療が、その後の生活の質を左右します。

膝関節の軟骨がすり減って痛みがおこる

膝関節は、太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、すねの外側の細い骨(腓骨)、お皿といわれる骨(膝蓋骨)が組み合わさってできています。大腿骨と腓骨の表面はなめらかな軟骨でおおわれ、軟骨の間には半月板があってクッションの役目を果たしています。立ったり座ったり、歩いたりといった動作をスムーズにできるのは、軟骨と半月板が関節の動きを守ってくれているからです。

しかし、長年にわたってこうした動きを繰り返していると、軟骨や半月板はすり減っていきます。このことにより、関節内に炎症が起きたり、関節が変形したりして、痛みや腫れを引き起こすようになります。これが変形性膝関節症です。

年齢が上がるほど多いのは、長い間使い続けているからです。女性は、男性に比べて関節が小さく、関節を守る大腿四頭筋の力が弱いため、患者数は男性の2倍に上るといわれます。

症状があれば、早めに受診を!

膝が痛む、違和感があるといった症状があるときは、早めに整形外科を受診しましょう。初期には、こうした症状が自然にやわらいで、痛みを感じなくなることもあります。しかし、放置すると、痛みが強くなって歩くのが難しくなったり、立ったり座ったりができなくなって、日常生活が不自由になってしまいます。

「膝に水がたまる」「膝が腫れる」のも、変形性膝関節症の代表的な症状です。すり減った軟骨に代わって関節を守ろうと関節液が過剰に増えて、膝が腫れたように見えるのです。これが「膝に水がたまる」ことの正体です。できるだけ早く受診することが大切です。

保存療法が基本。症状の改善や予防に効果的

治療は、大きく分けて保存療法と手術の2つの方法があり、まずは保存療法を行うのが基本です。それによって膝の痛みの軽減、歩行能力困難の改善、低下した筋力の回復を目指します。

保存療法には、薬物療法、運動療法、物理療法があります。

【薬物療法】
消炎鎮痛作用のある内服薬・外用薬を使ったり、軟骨保護作用のあるヒアルロン酸注射を行ったりします。

【運動療法】
大腿四頭筋を強化したり、関節の可動域を広げたりする訓練を行います。

【物理療法】
器械を使って膝関節を温めたり電気刺激を与えたりするものです。

この3つの治療法は、どれか1つだけではなく、併用するのが一般的です。効果は短期間で現れるものではなく、長く続けることで実感できます。

*大腿四頭筋を強化する運動(痛みの改善、予防に効果がある)
①イスに浅く腰かける。
②片方の足を伸ばし、かかとを床から10㎝ほど上げて5秒間止め、ゆっくり下ろす。
③反対の足も同様に行う。
④左右10回ずつ、1日合計30回を目安に行う。

手術も選択肢の一つとして考える

保存療法を半年以上続けても痛みが続くような場合は、手術を考えるのも一つの方法です。膝関節の一部(部分置換術)、または全部を人工関節に置き換える手術(全置換術)です。人工関節の品質は著しく向上していますので、手術は長い人生を活動的に楽しく生きるための治療方法と考えられます。

部分置換術は、体への負担が小さく、自然な膝の動きを残すことができます。術後15年前後は、何も手入れをすることなく長持ちするといわれています。
全置換術は、関節全体を人工関節に入れ替えるので、部分置換術に比べて体への負担が大きくなります。

どちらの手術が適しているかは、関節のすり減り具合などによって判断します。できるだけ体への負担を小さく済ませるためにも、膝の痛みをがまんしないで、早めに専門医に相談することをおすすめします。

記事監修:みよし市民病院 第二整形外科 部長 辻本朋哉


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参考資料
■日本整形外科学会「変形性膝関節症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html


画像提供:PIXTA

 

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