住宅改修

道路から上がり框までの玄関周り。高齢者の危険回避のための解決策。

第1回「玄関周り」の解決策

雨の多い日本では、住宅の床は地面より高くする必要があり、この高低差を、道路から玄関の上がり框までの間で、解消しなければなりません。
その際にどのような問題点、課題があるのか、本サイトの記事で、村井裕樹准教授がお話をしました。
今回は、その解決編。村井研究室の学生たちが解決策をご提案します。

 
 

玄関アプローチの課題解決策

大嶋 巧 が提案します

四つの解決策があります。一つは、スロープを付ける。お使いになる方の状況に合わせ、スロープの幅や傾斜角度を決めていきます。二つには、昇降機の設置です。スロープを使う幅が取れない、また、あまり幅を取りたくない場合にお勧めです。三つめは、手すり。歩行の安全を高めるために有効です。アプローチを自分で歩きたいけれど少し困難な方や、今まで使ってきたアプローチを、そのまま使いたい方には有効です。アプローチから玄関周りの間での段差解消が難しい場合や、玄関からの出入りが難しい場合は、高齢の方のための新たな出入り口として「玄関以外から出入りする」という方法はいかがでしょうか。リビングルームなどへの道を作ったりします。今までの庭の景色が気に入っており、その景色を活かしたい方や、駐車場から最短で玄関に行きたいという時にも、庭を散歩する道にもなる裏道を作るのも、楽しい方法だと思います。

大嶋 巧
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 3年

 
 

玄関ポーチの課題解決策

森 大成 が提案します

玄関ポーチは、広さと地面との段差が問題です。広さという面では、ドアの開け閉めといった動作や、車椅子での使いやすい広さを確保することが大切です。今ではDIYでも広げることはできますが、どれだけの広さが必要か、滑りにくい床材は何かなど、専門家の意見を聞くなどして、適切な対応をすることが大切です。段差については、スロープ設置や手すり設置など、福祉用具で解消することができますが、スロープは長い距離が必要となりやすいので、設置できる長さがポーチ周辺にあるのか確認が重要です。大きな段差を小さな段差にする時に大切な点は、段差が低すぎないこと。低くすれば良いというわけではなく、低くし過ぎるとかえって段差を認識できなくなります。それがつまずきや転倒に繋がったりしてしまうのです。「適切な高さ」が大切です。

森 大成
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 3年

 
 
 

土間空間の課題解決策

植松千明 が提案します

土間空間でもっとも重要なのは、不要なものは置かず、動きやすいようにできる限りスッキリさせていただくことです。余分なものがなく広く使える土間空間は普段使いでも便利です。もし屋外に車椅子で出かける場合には、車椅子が不自由なく動かせる広さが欲しいですし、屋内と屋外で使う車椅子を使い分けている場合も乗り換えしやすくなります。また高齢者は、靴の脱ぎ履きの際にバランスを崩し転倒しやすいので、体を支えるために手すりを設置したり、安定して動けるよう椅子を利用するのも有効です。折りたたみ可能なものや収納型のものなど、いろいろありますよ。
加えて土間空間には、玄関ドアとの段差という問題があります。土間、戸枠、玄関ポーチが平らになっているとよいのですが、屋外の埃や雨水が入ってきやすいという弱点もあります。つまずき防止で短いスロープを設置する方法もありますが、雨の日は濡れていることもありますから、滑ってしまわないように注意が必要ですね。

植松千明
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 3年

 
 

上がり框の課題解決策

古本椋太郎 が提案します

上がり框でのリスクは転倒です。玄関は突起物でもあり土間は固いので、これは何としても起こさないようにしたいです。一方で、日本の住宅には欠かせない文化でもあるのが、上がり框。これを残したまま解決策を考えるとなると、福祉用具の活用が有効です。歩行が可能な方には、手すり、あるいは、手すり付きのステップ台をお使いになるのが良いかと思います。ステップ台は式台といい、両足と杖が乗る広さがあって、滑りにくい材質のものが良いですね。手すりをしっかりと握って、ステップ台を一歩ずつ上り下りすることになります。これらにプラス。椅子やベンチを置いておくと、さらに動作がしやすくなります。車椅子を使用する方の場合は、段差解消機を設置することで車椅子のまま昇り降りが可能になります。

古本椋太郎
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 3年

 
 

改善策のお役に立ちます
暮らしに”そっと”寄り添う。 Kurasott(くらそっと)
  • (株)シコク
    玄関用収納チェアー
    座った状態での靴の脱ぎ履きが可能。
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  • (株)竹虎
    シューヘルパー
    1つで靴の”脱ぎ””履き”両方をサポート。
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  • 矢崎化工(株)
    あがりかまち用 たちあっぷ
    玄関に置くだけで、手すりの高さも調整可能。
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  • (株)シクロケア
    ノンスリップテープ 屋外用
    玄関アプローチや、スロープなどに貼ることで転倒防止。
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My エデンの園〈創造〉計画プロジェクトとは
いつまでも安心・安全に、自分の家で暮らすために。

いつまでも安全に安心して、慣れ親しんだ自分の家で暮らしたい。
それは、多くの方が望むことです。ただ、残念ながら、毎年30,000人以上の高齢者が「不慮の事故」で亡くなっています。厚生労働省「人口動態調査」調査票情報によると、「自然災害」、「交通事故」を除いた「不慮の事故」の死亡者数も増加傾向にあり、特に「誤嚥等の不慮の窒息」、「転倒・転落」、「不慮の溺死及び溺水」については「交通事故」より死亡者数が多いことが報告されています。
これは、高齢になるにつれて心身機能が低下することが大きく影響しています。「少し足が上がりづらくなった」、「ふとしたことで態勢を崩してしまう」ということが増えてきます。これまで何の不安も危険も感じることなく過ごしていた家のあちこちが、高齢者にとっては転倒や転落のリスクをはらんだ危険な場所へと変わってしまうのです。そして、そのリスクを回避するために、自分なりの対応方法を見つけていくのですが、それは自分の体・行動をその家に潜むリスクに慣れさせてしまっているだけで、根本的な問題解決にはなっていないのです。

今回、私たちは、そのような家の中にあるリスクについて、日本福祉大学健康科学部福祉工学科建築バリアフリー専修の村井准教授、そして研究室に所属する学生のみなさんとともに、改めて調べてみました。建築バリアフリー専修は、「福祉社会に求められる役割を果たすため、福祉や環境の目で考える建築の専門家に」をテーマにしています。
今回は、安心して、いつまでも暮らせる「理想の家」をコンセプトに「My エデンの園〈創造〉計画プロジェクト」と題して、シリーズで家の中で気を付けないといけないこと、そしてその解決方法をご提案して参ります。

尚、住宅改修や福祉用具については、介護保険を利用したサービス、各行政で行っている独自のサービスもあります。詳しくご相談したい方は当社窓口または、地域包括支援センターやケアマネージャーの方にご相談ください。

 

画像提供:PIXTA

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