住宅改修

入浴する高齢者、介助するご家族など、 それぞれの安全を確保するための対策が求められます。

第3回「脱衣室・浴室」の解決策

高齢者、介助者が安全・安心して入浴するためには、脱衣室・浴室・洗い場には多くの問題点があります。空間の狭さ、突起物の多さ、濡れた床による足元の不安定さ、腕の上げ下ろし、立ち座り動作などに対して改善策を提案します。

 
 

脱衣室の課題解決策

植松千明・石神侑夏・浅岡陽佳 が提案します

高齢者が入浴するにあたり、脱衣室で起こる危険は大きく分けて下記の3つが考えられます。

① 物にぶつかること
② 転倒すること
③ 温度差によるヒートショック

それぞれの対策を詳しくご説明します。

① 物にぶつかることへの対策

着脱衣の際に物にぶつかることへの対策は、整理整頓が基本です。脱衣室は洗面所や洗濯場と兼用になっていることが多く、洗面台の他に洗濯機が設置されています。加えてタオルや入浴・洗濯に必要なストック品が置いてあったりと、人が動けるスペースは意外と少ないことが多いです。その限られたスペースのなかで、高齢者と介助者が安全に動くためには、整理整頓が重要になります。ストック品などを買い過ぎないことや別の場所で保管するなどの工夫も必要です。


② 転倒することへの対策

着脱衣の際に、片足立ちになることや、浴室から流れてきた水で床が濡れて滑りやすいことが主な転倒の要因です。片足立ちによる転倒防止対策には、椅子を置くのが良いでしょう。狭いスペースに椅子を置くことになりますので、ここでもやはり整理整頓が重要になります。
浴室への出入り用の手すりを設置することも有効です。脱衣室側、浴室側の両方に縦手すりを設置すると床が濡れていても安全に出入りができます。また脱衣室の床材を滑りにくいコルク床などに変更するのは、介助者にとっても足元が安定するので安心できます。


③寒暖差によるヒートショック対策

脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす要因となるヒートショックの対策には、暖かな居間と室温の低い脱衣室・浴室との温度差を少なくする必要があります。気温の下がる12月から2月まではヒートショックが引き起こされる可能性が高まりますので特に注意が必要です。
脱衣室を温めるには、場所を取るというデメリットもありますが暖房器具の設置が有効です。遠赤外線ヒーター、温風タイプ、壁掛け式などさまざまな種類の暖房器具がありますが、短時間で暖まることが重要です。

植松千明
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 4年
石神侑夏
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 3年
浅岡陽佳
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 2年

 
 

浴室の課題解決策

森大成・古本椋太郎・大嶋巧・野村真由 が提案します

高齢者が入浴するにあたり、浴室(洗い場・浴槽)に潜む危険は下記の3つに大別されます。

① 洗い場と浴槽の移動の不安定さ
② 洗い場の狭さ
③ 適切な室温・湯温の管理

それぞれの対策を詳しくご説明します。

① 洗い場と浴槽の移動の不安定さへの対策

洗い場の床と浴槽の底には高低差があります。この高低差があるなか、浴槽をまたいで湯船に浸かるという行為は、高齢者にとっては危険を伴うものです。ふらついたりバランスを崩し転倒するリスクが非常に高いのです。
この対策には、高齢者の身体に合わせた手すりの設置、浴槽に渡すボード式のシート設置がおすすめです。手すりに掴まルコとでふらつきを防止できますし、ボード式シートに腰掛けて移動すれば、安定し転倒の心配もありません。


② 洗い場の狭さへの対策

洗い場の狭さは、水栓やシャワーヘッドなどの硬い突起物が多いうえに、裸でいる状態のため身体を傷つけやすい危険な環境です。また介助者にとっても動きが制限されるなかで高齢者をサポートせねばならない厳しい環境です。
大掛かりなリフォームで浴室を拡張できれば良いのですが、スペース的、経済的に困難であることもあるでしょう。その際にはやはり整理整頓が大切になります。高齢者・介助者が、少しでも安全・安心に動くことができるスペースの確保に努めましょう。


③ 適切な室温・湯温の管理

適切な室温(24度前後)を維持するのは浴室エアコンを設置することが有効です。壁掛け式や天井に埋め込むタイプが多く、スペースの狭さが設置障壁になることも少ないです。
その他の対策としては、冬場、入浴前に適温のシャワーを流してけば室温を温めておくこともできます。浴槽の蓋を開けておいて浴室内を温めておくのも効果的です。
また適切な湯温(39〜41度)を維持することも重要です。湯温が42度以上になると心臓に大きな負担がかかります。信頼の置けるメーカーの給湯器を設置するのも良いでしょう。

森 大成
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 4年
古本椋太郎
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 4年
大嶋 巧
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 4年
野村真由
日本福祉大学
健康科学部・福祉工学科・建築バリアフリー専修 2年

 
 

改善策のお役に立ちます
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My エデンの園〈創造〉計画プロジェクトとは
いつまでも安心・安全に、自分の家で暮らすために。

いつまでも安全に安心して、慣れ親しんだ自分の家で暮らしたい。
それは、多くの方が望むことです。ただ、残念ながら、毎年30,000人以上の高齢者が「不慮の事故」で亡くなっています。厚生労働省「人口動態調査」調査票情報によると、「自然災害」、「交通事故」を除いた「不慮の事故」の死亡者数も増加傾向にあり、特に「誤嚥等の不慮の窒息」、「転倒・転落」、「不慮の溺死及び溺水」については「交通事故」より死亡者数が多いことが報告されています。
これは、高齢になるにつれて心身機能が低下することが大きく影響しています。「少し足が上がりづらくなった」、「ふとしたことで態勢を崩してしまう」ということが増えてきます。これまで何の不安も危険も感じることなく過ごしていた家のあちこちが、高齢者にとっては転倒や転落のリスクをはらんだ危険な場所へと変わってしまうのです。そして、そのリスクを回避するために、自分なりの対応方法を見つけていくのですが、それは自分の体・行動をその家に潜むリスクに慣れさせてしまっているだけで、根本的な問題解決にはなっていないのです。

今回、私たちは、そのような家の中にあるリスクについて、日本福祉大学健康科学部福祉工学科建築バリアフリー専修の村井准教授、そして研究室に所属する学生のみなさんとともに、改めて調べてみました。建築バリアフリー専修は、「福祉社会に求められる役割を果たすため、福祉や環境の目で考える建築の専門家に」をテーマにしています。
今回は、安心して、いつまでも暮らせる「理想の家」をコンセプトに「My エデンの園〈創造〉計画プロジェクト」と題して、シリーズで家の中で気を付けないといけないこと、そしてその解決方法をご提案して参ります。

尚、住宅改修や福祉用具については、介護保険を利用したサービス、各行政で行っている独自のサービスもあります。詳しくご相談したい方は当社窓口または、地域包括支援センターやケアマネージャーの方にご相談ください。

 

画像提供:PIXTA

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